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Lee-Byung-hun addicted

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『タチュルコヤ』 (2)

『タチュルコヤ』 (2)



全く・・あんな幸せそうな顔をするくせにスルッと腕から抜け出して逃げちゃうんだから。
大根を必死に抜いている揺の背中を眺めながら僕はちょっと複雑な気持ちになった。
「早く、全部抜いちゃうわよ」
彼女の声がする。
「アドバンテージやったんだよっ!」
僕は笑ってそう叫ぶと揺の元に向かった。

「ほほほ・・ねえ、これセクシーじゃない?」
揺が抜いた大根は足を絡ませた女性のような形をしていた。
「いやぁ~揺ちゃんみたいだ。」
笑いながら揺を小突く。
「ビョンホンssi・・何想像してるの?うわっ、いやらしい。それに私の足こんな太い?」
面白がってそう言う揺に
「そんな細い?」僕は思い切り怪訝そうに言った。
「もう・・・知らないっ!」
ふてくされて揺は僕の方にお尻を向けた。
そんな仕草も可愛かったりする。
僕はクスクスと笑ってナイフを取り出すと抜いた大根の皮を剥いて一切れ揺の目の前に差し出した。
「ほら、揺ちゃん、おやつの時間だよ」
「うわっ、美味しそう」
瑞々しい大根の切れ端に揺の目が輝いた。
「別に買収されたわけじゃないからね」
揺はちょっと強がってそういうとチラッと僕を見てから嬉しそうに大根を受け取った。
「揺ちゃんの足はもっと綺麗だよ。俺が一番よく知ってる」
僕が真面目ぶってそういうと揺は大根をほおばりながらにっこりと笑った。
「美味しい~。甘いわ。すっごくこれ。あ~カクテキ食べたい~」
最近の揺はオモニの料理のせいか韓国料理が身体に合ったのか徐々に食欲も出てきていた。
何かを食べたいと口にするようになった彼女を見ると本当にソウルに無理して連れてきて良かったと思う。
大根をほおばりながらケラケラと話す揺を見ているだけで幸せな気分になる。

「さ、おやつも食べたからもうひと頑張りしようか」
揺はそう言ってすっくと立ち上がった・・・その途端、揺のからだが揺れた。
慌てて彼女を支える。
「揺」
「大丈夫。ちょっと立ちくらみがしただけだから。調子がいいからって急に遊びすぎちゃったかな」
揺はそういうと舌を出して照れくさそうに笑った。
「本当に大丈夫?寒気とかしないか?」
心配になって揺のおでこに自分のおでこをつけた。
揺の辛さの半分でもおでこを伝わって僕に移ればいいのに・・・。
彼女に触れるたびにそう思う。
幸い熱はないようだ。貧血かな。
「うん。大丈夫。ごめんね。心配かけて」
揺はすまなそうにそう言った。
「ああ。心配だ。後は俺がやるから揺はこっち」
僕は揺を抱っこして畑の隅にある揺り椅子に座らせた。
「ここで待ってて。すぐ終わらせるから」
そばにあったブランケットを膝にかけた。
元気になるおまじない。
膝を二度トントンと叩く。
「うん。」揺は微笑んで頷いた。
揺の笑顔は自然と僕を笑顔にする。


畑仕事をてきぱきと片付ける彼をブランコをそっと揺らしながら私は眺めていた。
ソウルに来てからも彼はほとんどの時間を私と過ごしてくれた。
時々事務所へ出かけるものの夕方になると飛んで帰ってくる。
仕事の話は一切しない。
私が訊ねると「ボチボチね」と笑って答えるだけだった。
一緒にいられて嬉しいけど・・・これじゃいけない気がする。
大根をせっせと抜いて時折こちらを心配そうに見て手を振る彼を眺めながら私はそんなことを考えていた。


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